鏡を見るたびに深くなるため息と、日に日に増していく焦燥感。三十代を過ぎた頃から、シャンプー後の排水溝に溜まる髪の毛や、朝起きた時の枕に付着する抜け毛が、明らかに増えてきたのです。最初は気のせいだ、仕事のストレスだろうと思おうとしましたが、少しずつ後退していく生え際のラインと、光に透ける頭頂部の現実は、もはや見て見ぬふりのできない問題となっていました。専門的なクリニックでの治療も考えましたが、継続的な費用や副作用への漠然とした不安から、どうしても一歩を踏み出せずにいました。何か手軽に、そして自然な形で始められることはないかとインターネットで情報を探していた時に、私の目に飛び込んできたのがノコギリヤシのサプリメントでした。正直なところ、最初は半信半疑でした。植物の成分で本当に髪に変化が訪れるのだろうか、と。それでも、悩んで何もしないでいるよりは、何か行動を起こしたいという藁にもすがる思いで、毎日欠かさず飲むことを決意したのです。最初のひと月は、予想通り、目に見える変化は何も感じられませんでした。焦る気持ちを抑え、これは長期戦なのだと自分に言い聞かせ、とにかく継続することだけを考えました。二ヶ月目が過ぎた頃、ふと気づいたことがありました。それは、朝の洗顔時に鏡で見た自分の枕元の抜け毛が、以前より心なしか減っているような気がしたのです。さらに、シャワーの際の排水溝ネットに絡まる髪の量も、ピーク時に比べると落ち着いているように感じました。気のせいかもしれない、でも確かな手応えを感じたい。そんな期待を胸に、三ヶ月目を迎えました。髪が劇的に増えたわけではありません。しかし、シャンプーの時に指先に感じる髪の感触が、以前よりも少しだけしっかりしてきたように思えたのです。一本一本にハリとコシが出てきた、とでも言うのでしょうか。細く頼りなかった髪が、根元から少しだけ力強さを取り戻したような感覚でした。この小さな、しかし確かな変化が、私にとっては大きな希望の光となりました。もちろん、これがノコチラシだけの効果なのか、あるいは同時に始めた食生活の見直しや睡眠時間の確保といった努力との相乗効果なのかは断定できません。それでも、悩んで立ち止まっていた自分から、一歩踏み出して行動したことで得られたポジティブな感覚は、何物にも代えがたいものでした。