AGA治療は、一度始めると、数ヶ月から数年にわたる、長期的な継続が必要となります。その長い道のりを、安全に、そして安心して歩み続けるために、車の定期点検と同じように、不可欠なのが「定期的な血液検査」です。血液検査は、AGA治療薬が、あなたの体に、目に見えない負担をかけていないかを確認し、副作用の兆候を、早期に発見するための、最も客観的で、信頼できる指標となります。AGA治療において、血液検査で特に注目すべき項目は、主に二つあります。一つは、前述した、肝臓の健康状態を示す「肝機能の数値」です。血液中の「AST(GOT)」や、「ALT(GPT)」、「γ-GTP」といった、酵素の値を測定します。これらの酵素は、肝細胞がダメージを受けた際に、血液中に漏れ出してくるため、その数値が上昇している場合は、肝臓に何らかの炎症や、障害が起きている可能性を示唆します。AGA治療薬は、肝臓で代謝されるため、この数値に異常な変動がないかを、定期的に監視することが、安全性の確保に繋がります。もう一つの、重要な項目が、前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSA値」です。AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドには、このPSA値を、約50%低下させる作用があることが知られています。そのため、薬を服用中に、健康診断などでPSA検査を受けた場合、実際の数値よりも、低く測定されてしまうのです。もし、前立腺がんが発症していたとしても、その発見が遅れてしまうリスクがあります。そのため、AGA治療を開始する前に、一度、PSA値のベースラインを測定しておき、治療中も、定期的にその数値をチェックし、変動を監視することが、非常に重要となります。医師は、測定されたPSA値を、2倍にして評価するなど、専門的な知識に基づいて、あなたの健康状態を管理してくれます。AGA専門のクリニックでは、治療の一環として、これらの血液検査を、半年から一年に一度のペースで、実施することを推奨しています。それは、単なるオプションではなく、長期的な治療における、安全性を担保するための「標準装備」であると、認識すべきなのです。