「このままでは、30代で完全にハゲてしまう」。鏡に映る自分のスカスカな頭頂部を見て、僕は絶望的な気持ちでAGAクリニックの扉を叩きました。今日で、治療を始めてからちょうど一年。この一年間は、僕の髪にとっても、心にとっても、激動の期間でした。最初の1ヶ月は、期待と不安が入り混じる日々。しかし、2ヶ月目に入ると、地獄の「初期脱毛」が始まりました。髪を増やすための治療で、なぜか治療前より抜け毛がひどくなる。シャンプーのたびに指に絡みつく髪の毛の量に、何度も治療をやめようと思いました。しかし、「これは効果の証です」という医師の言葉を信じ、ただ耐えました。変化の兆しが見えたのは、治療開始から3ヶ月が過ぎた頃。あれほど激しかった抜け毛がピタリと治まり、後退していた生え際に、指で触るとチクチクする短い産毛が生えているのを発見したのです。本当に、心の底からガッツポーズをしました。そして半年後、その産毛は少しずつ長さを増し、細く弱々しかった既存の髪にもハリとコシが戻ってきました。スタイリングをしても、以前のようにすぐにぺしゃんこになることがなくなり、髪全体のボリューム感が明らかに変わってきたのです。この頃から、人に会うのが億劫ではなくなりました。そして一年が経った今。20代の頃のようにフサフサ、とまではいきませんが、頭頂部の地肌はほとんど気にならなくなり、生え際のラインもくっきりと前に出てきました。何より変わったのは、僕自身の心です。鏡を見るのが楽しくなり、自分に自信が持てるようになりました。この一年という治療期間は、単に髪を取り戻すための時間ではなく、僕が失いかけていた前向きな気持ちを取り戻すための、かけがえのない時間だったのです。