私が自分の髪の異変にはっきりと気づいたのは五十二歳の冬エレベーターの防犯カメラのモニターに映った自分の頭頂部をふと見上げた瞬間でありそこには目を背けたくなるほど地肌が透けて寂しくなった頭部が映し出されており心臓が凍りつくようなショックを受けたことを今でも鮮明に覚えています。それまでは髪の量は多い方だと自負しており薄毛なんて男性かあるいはもっと高齢になってからの悩みだと思い込んでいたためまさか自分がという信じられない気持ちとこれからどんどんハゲていってしまうのではないかという恐怖でその日は一日中何も手につきませんでした。しかし落ち込んでばかりいても髪は増えないと自分を奮い立たせ私は本気の育毛生活をスタートさせることを決意しまずは長年使い続けてきた洗浄力の強い市販のシャンプーを止めて頭皮に優しいアミノ酸系の育毛シャンプーに変えることから始めました。最初は泡立ちが悪く洗った気がしないような物足りなさを感じましたが使い続けるうちに頭皮の乾燥やかゆみが治まり痩せていた地肌が潤いを取り戻していくのを肌で感じることができました。次に食生活の大改革を行い朝食には必ず納豆と卵を食べおやつにはスナック菓子の代わりにアーモンドやくるみをかじるようにして髪の材料となるタンパク質とミネラルそして女性ホルモンに似た働きをする大豆イソフラボンを意識的に摂取するよう心がけました。そして何よりも勇気を出して行ったのが薄毛治療専門のクリニックへの受診でありそこで処方された女性用ミノキシジル外用薬とパントガールという内服薬の使用を開始したことが私の運命を大きく変えました。治療を始めて最初の数ヶ月は初期脱毛という一時的な抜け毛の増加に悩まされ不安で押しつぶされそうになりましたが医師の言葉を信じて毎日のケアを継続した結果半年が過ぎた頃にはお風呂上がりの鏡に映る自分の生え際に産毛が黒々と増えていることに気づき一年後にはウィッグを考えなくても良いほどまでに見事に回復することができました。この体験を通じて私が学んだのは薄毛は決して恥ずかしいことではなく年齢による体の変化の一つであり正しい知識と行動力さえあれば克服できる課題なのだということです。もし今一人で鏡を見てため息をついている方がいるならどうか諦めないで一歩を踏み出してほしいと心から願っています。